事業の目的や用途に合わせて卵の種類を選ぶ

定番の赤玉や白玉以外に、どのような種類の卵を扱っているかの確認は重要です。飲食店の看板メニューとして付加価値を高めるなら、その土地ならではのブランド卵（名古屋コーチンなど）は、他店との差別化を図る強力な武器になります。また、調理の手間を省きオペレーションを効率化するには、加工済みの温泉卵なども有効な選択肢です。自社のコンセプトに合わせて最適な選択ができる卸売業者を選ぶことが成功の鍵です。

味と品質を左右する鶏の飼育環境やエサに注目する

卵の味や品質は、親鶏の飼育環境とエサで大きく変わるため、生産背景の確認は不可欠です。品質を重視するなら、生産者がどのようなこだわりを持っているか、以下のような点を確認することが重要になります。

• 鶏がストレスを少なく、健康的に過ごせる飼育環境か（例：日光や自然の風が入る開放鶏舎）
• 栄養バランスを考えた特注の配合飼料や、鶏の腸内環境を整える自家製発酵飼料を与えているか
• 鶏が飲む水にも配慮しているか（例：良質な地下水やミネラル豊富な水）

これらのこだわりは、卵の味や風味、黄身の色の良さに直接反映されます。

産みたての鮮度を届けるための仕組みを確認する

卵は鮮度が料理の味を大きく左右する食材です。そのため、卸売業者を選ぶ際は、鮮度を保つ仕組みが整っているかを確認する必要があります。例えば、養鶏場から直接商品を発送する体制を持つ業者は、中間流通を省けるため、より新鮮な状態で卵を受け取ることが可能です。また、採卵から選別、パック詰めまでを迅速に行う衛生管理施設（GPセンター）が完備されているかも、鮮度と品質を見極めるうえで大切な指標となります。

自社のスタイルに合った注文方法を選ぶ

仕入れ担当者の手間を減らし、スムーズな発注を実現するためには、自社の運用スタイルに合った注文方法が用意されているかを確認することが大切です。卸売業者が提供する注文方法には、主に以下のようなものがあります。

電話やFAXでの注文

昔ながらの方法ですが、担当者と直接話しながら数量や配送日について細かく相談したい場合に適しています。疑問点をその場で解消できる点が利点です。

オンラインストアでの注文

24時間いつでも、PCやスマートフォンから発注できる方法です。時間や場所を選ばずに簡単注文ができるため、忙しい業務の合間でも手軽に利用できます。注文履歴の確認がしやすい点も魅力です。

定期配送サービス

毎週決まった曜日や数量を自動で配送してもらうサービスです。一度設定すれば発注の手間が省け、在庫切れのリスクを減らしながら安定した仕入れを実現できます。

これらの選択肢の中から、自社にとって最も管理しやすく、便利な方法を提供している業者を選びましょう。

事業規模に合うロット数と配送エリアを確認する

継続的に取引を行うためには、自社の事業規模に見合った数量（ロット）で注文できるか、店舗や工場が配送エリア内にあるかの確認が不可欠です。

個人経営の飲食店やテスト的に新しい卵を試したい場合には、小ロットから柔軟に対応してくれる業者が適しています。一方で、スーパーマーケットや食品工場などで大量消費する場合には、大規模な注文にも安定して応えられる供給能力が求められます。

また、自社の所在地が配送エリアに含まれているかは必ず確認すべき点です。全国発送に対応している業者であれば、多店舗展開する企業が全店舗の仕入れ先を一本化でき、管理面での利点も大きくなります。

安定した供給体制と生産規模

需要の増減や季節変動に左右されず、必要な量を確実に供給してくれるかどうかは最も重要なポイントです。大規模な養鶏場を自社で運営している、あるいは複数の契約農家から仕入れるルートを確立しているなど、潤沢な生産規模と安定した供給体制が整っているかを確認しましょう。特に、酷暑期など鶏の産卵数が減少しやすい時期でも、供給が滞らないための対策（例：鶏舎の温度管理設備）が講じられているかは、信頼できる業者を見極めるうえで重要な指標となります。

業務用価格と見積もりの柔軟性

大量に仕入れる場合、コスト管理は事業の利益に直結します。そのため、法人向けの業務用価格が設定されているかは確認すべき点です。公式サイトに価格表が掲載されていない場合でも、問い合わせることで見積もりを提示してくれる業者がほとんどです。その際、発注ロットや取引期間に応じて、価格交渉に柔軟に応じてもらえるかどうかも、長期的なパートナーシップを築くうえで大切な要素になります。

徹底された衛生管理体制

食の安全を守ることは、食品を提供するすべての事業者の責務です。卸売業者がどれだけ衛生管理に力を入れているかは、しっかり確認しなければなりません。例えば、採卵から洗浄、殺菌、検卵、サイズ選別、パック詰めまでを一貫して行うGPセンター（鶏卵格付選別施設）を完備している業者は、高いレベルで衛生管理が行われていると判断できます。信頼できる品質の卵を仕入れるために、業者の衛生管理体制をしっかりと見極めましょう。