生産者からの直接仕入れで中間コストを削減

業務用卵の一般的な流通では、複数の仲介業者を介するため、その分中間マージンや物流費が価格に上乗せされます。生産者からの直接仕入れは、この流通経路を簡略化することで中間コストを削減できるのが最大のメリットです。

また、価格面以外にも以下のようなメリットが期待できます。

鮮度の向上

産卵から納品までの時間が短縮され、より新鮮な卵を使用できます。

情報の透明性

飼育環境など、品質にかかわる情報を生産者から直接得られます。

柔軟な対応

ロット調整や配送要望を直接伝えることで、連携が取りやすくなります。

直接仕入れは、コスト削減と品質向上を両立させる合理的な選択肢です。

適正な発注量でフードロスという名のコストをなくす

見落としがちなコストが、過剰在庫によるフードロスです。賞味期限が限られる卵を必要以上に仕入れることは、品質劣化や廃棄のリスクを直接的に高めます。廃棄分の仕入れ費用はそのまま損失となり、全体のコストを押し上げる要因となります。

日々の販売データに基づいて需要予測を行い、常に適正な在庫量を維持することが重要です。必要な分を必要なタイミングで仕入れる仕組みを整えることが、結果として無駄なコストの削減につながります。

価格以上の「価値」で選ぶ長期的視点

目先の価格の安さだけで仕入れ先を選ぶことには注意が必要です。価格が極端に安い卵は、品質にばらつきがあり、料理の味を不安定にさせ、結果として顧客満足度の低下を招くリスクが伴います。

卵を単なる原材料ではなく、お店の価値を高める重要な要素として捉える視点が求められます。飼料や飼育法にこだわった高品質な卵は、それ自体が他店との差別化要因となり、お店のブランド価値向上に貢献します。この価値提供こそが、長期的に見れば最も効果的なコスト戦略といえるのです。

卵の保管に最適な温度・湿度

卵の鮮度を保つうえで、最も重要なのが温度管理です。卵の保管に最適な温度は10℃以下とされています。納品後は速やかに冷蔵庫へ移し、温度変化の少ない場所に保管することが基本です。特に、冷蔵庫のドアポケットは開閉による温度変化が激しいため、保管場所としては避けるべきです。また、卵は殻の表面にあるクチクラ層によって外部の細菌から守られていますが、湿度が高すぎるとカビが発生する原因にもなるため、結露などにも注意が必要です。

徹底したい先入れ・先出しと賞味期限の確認

基本的ながら非常に重要なのが、先入れ・先出しの徹底です。新しい卵を手前に置いてしまうと、古い卵が使われないまま残り、賞味期限切れや品質劣化の原因となります。納品された卵は必ず日付を確認し、古いものから順に使用できるような保管ルールを確立・徹底することが、安定した品質提供の第一歩です。また、卵の賞味期限は「生で食べられる期限」を示しています。期限を過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありませんが、加熱調理を前提とするなど、期限を正しく理解したうえでの管理が求められます。

ヒビや破損を防ぐ丁寧な取り扱い

卵は非常にデリケートな食材です。納品時の検収では、ヒビや割れがないかをしっかりと確認することが重要です。万が一、ヒビ割れのある卵を見つけた場合は、細菌が侵入している可能性があるため、他の卵とは分けて管理し、使用は避けるべきです。保管時や調理時に卵へ衝撃を与えないよう、丁寧に取り扱うことをスタッフ全員で意識することも、品質管理の一環といえます。

需要予測の精度を高め発注量を決定する

適切な発注量の算出は、正確な需要予測から始まります。過去の販売データはもちろん、季節のイベントや天候、周辺地域の動向などを考慮に入れることで、予測の精度は高まります。週末や祝日前など、客数が増加するタイミングを的確に捉えることが重要です。そして、予測した需要に対して、現在の在庫量を照らし合わせ、次の発注量を決定します。この一連のプロセスを定期的に行うことで、勘に頼らないデータに基づいた在庫管理が実現します。

仕入れ先の「リードタイム」を正確に把握する

リードタイムとは、発注してから商品が納品されるまでの時間のことです。このリードタイムを正確に把握していないと、在庫がなくなる直前に発注しても間に合わない、という事態を招きかねません。仕入れ先によってリードタイムはさまざまです。生産体制や配送スケジュールを確認し、自店の発注サイクルと照らし合わせて、余裕を持った発注計画を立てることが不可欠です。仕入れ先と密にコミュニケーションを取り、正確な情報を常に共有しておくことが求められます。

季節変動を織り込んだ発注計画を立てる

鶏の産卵数は、年間を通じて一定ではありません。特に夏場の暑さなどの影響で、産卵数が一時的に減少することもあります。こうした季節による供給量の変動をあらかじめ想定しておくことも、安定した仕入れを実現するうえで重要です。供給が不安定になりがちな時期こそ、日頃から信頼関係を築いている生産者との連携が活きてきます。供給状況について事前に情報共有を受けられれば、余裕を持った発注タイミングの調整が可能になります。